馬は調教された扶助を忘れませんか?
 乗用馬として調教された馬は、一度教え込まれた扶助、しつけなどは一生涯忘れないものなのでしょうか?

(40歳・女性・乗馬歴2年)
 馬が記憶力の良い動物であることは一般的に知られていますが、それは時として人間の想像をはるかに超えます。こちらが忘れてしまった何年も前のことを、馬がしっかり憶えていたといったこともあります。何年か前の千葉県大会が中山競馬場で行われた時に、参加していた馬の何頭かは場内放送のファンファーレに明らかに反応していました。競走馬時代の記憶が乗馬になっても消えていないという証明といえます。ですから、なんらかの事情で1年くらいの間放牧管理をしていたとしても、扶助を忘れてしまうことはありません。
 しかし、乗り手にとって馬が扶助を忘れてしまったのではないかと感じることはしばしばおこります。馬は果たして記憶を失ったのでしょうか?それは多分、元の記憶の上に新しい(多くの場合間違った)記憶を塗られて、そちらを優先したために起こっているのだと思います。
 馬は記憶する能力は高いのですが、それが良い記憶かそうでないかを判断することはできないと思います。馬の記憶をコントロールし、良い方向に生かすのは、乗り手の責任なのかもしれません。

(ジョーバ博士)


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